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医療用縫合糸とは-素材の種類と使い方の違い

外科手術には欠かせない存在の縫合糸(ほうごうし)。遡ること紀元前30世紀のエジプトで亜麻を使った縫合が行われていたという記録も残っているほど、古い歴史を持っています。何千年もの間に様々な素材が用いられ、特に西暦1000年以降は動物の腸や絹糸が主流でした。しかし化学の進歩により合成繊維が開発され、現在では合成繊維でも様々な種類の糸があります。今回は現在よく使われている医療用縫合糸の種類を紹介します。



縫合糸の種類ー吸収性と非吸収性

手術で使われる糸で「溶ける糸」と言われている糸を聞いたことがある方は多いと思います。
医療用縫合糸は、体内で吸収される性質のものか吸収されない性質のものかで大きく2種類に分かれます。
吸収されてなくなる糸であれば抜糸をする必要がないので吸収性の糸の方が良い場合もありますが、溶けることで強度がなくなってしまうと困る場合もあるので、非吸収性の糸が求められる場合もあります

それぞれの特徴や用途はこのようになっています。


吸収性縫合糸 非吸収性縫合糸
一定の期間は創部を固定する強度を有し、加水分解などで時間が経つと吸収される。
糸の種類によって、抗張強度維持期間と吸収期間が異なる。
生体内で分解・吸収されずに残留する。(長期間をかけて劣化するものも含む)
長期間にわたり保持する必要のある組織に使用されることが多い。

縫合糸の市場全体としては、身体の表皮から内部までさまざまな部位で用いられる吸収性縫合糸の割合が多いと言われています。

素材による違いー合成素材・天然素材

素材の違いによって、縫合糸の種類はさらに細かく分かれます。


合成素材 天然素材
材料 吸収性→
ポリグリコール酸(PGA)、P(LA/CL)など
非吸収性→
ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、PVDFなど
カットグット(動物の腸を糸にしたもの)、シルク(絹)など
特徴 組織の反応が少なく、強度がある。 昔から使われてきた。合成素材と比較すると強度は低い。

最近は合成素材が主流になっていますが、シルクは途上国などの海外でいまだに多く使用されています。

単糸(モノフィラメント)と編糸(マルチフィラメント)

糸の構造によっても性質が異なり、種類が分かれています。


糸のサイズ

縫合糸は糸の太さによって分類されています。アメリカのU.S.P(米国薬局方)による分類では、1番太いものが10号で、1号小さくなるごとに細くなり、1号より細いものは1-0、2-0という順番に細くなります。
一番細い糸12-0は糸の直径が0.001mmから0.009mmまでと定められています。ぎりぎり肉眼で見えるレベルまで細い糸なのです。実際の比率に合わせて拡大した図を作ってみましたが、それでも12-0は目を凝らしてみないと見えないほど細いですね。


縫合用の糸と一言で言っても、さまざまな種類・特徴があることをご理解いただけたでしょうか。
次回は医療用縫合糸の法制度的位置づけについて解説したいと思います。