医療用縫合糸とは ー素材の種類と使い方の違い

外科手術には欠かせない存在の縫合糸(ほうごうし)。

遡ること紀元前30世紀のエジプトでは、亜麻を使った縫合が行われていたという記録も残っているほど、古い歴史を持っています。何千年もの間に様々な素材が用いられ、特に西暦1000年以降は動物の腸や絹糸が主流でした。科学の進歩により合成繊維が開発され、現在では様々な種類の合成繊維の縫合糸が用いられています。

今回は現在よく使われている医療用縫合糸の種類を紹介します。

(この記事は2018年5月に作成したものです

目次

縫合糸の種類ー吸収性と非吸収性縫合糸

手術で使われる「溶ける糸」と呼ばれる糸を聞いたことがある方は多いと思います。
医療用縫合糸は、体内で吸収される性質のものか吸収されない性質のものかで大きく2種類に分かれます。

吸収されてなくなる糸であれば抜糸をする必要がないので吸収性の糸の方が良い場合もありますが、溶けること
で強度がなくなってしまうと困る場合もあるので、非吸収性の糸が求められる場合もあります。
それぞれの特徴や用途はこのようになっています。

         吸収性縫合糸        非吸収性縫合糸
一定の期間は創部を固定する強度を有し、加水分解
などで時間が経つと吸収される。
糸の種類によって、抗張強度維持期間と吸収期間が
異なる。
生体内で分解・吸収されずに残留する(長期間を
かけて劣化するものも含む)。
長期間にわたり保持する必要のある組織に使用され
ることが多い。

縫合糸の市場全体としては、身体の表皮から内部までさまざまな部位で用いられる吸収性縫合糸の割合が多いと
言われています。

素材による違いー合成素材・天然素材

素材の違いによって、縫合糸の種類はさらに細かく分かれます。

          合成素材           天然素材
材料・吸収性
ポリグリコール酸(PGA)、P(LA/CL)など

・非吸収性
ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、
PVDFなど
カットグット(動物の腸を糸にしたもの)、
シルク(絹)など
特徴組織の反応が少なく、強度がある。昔から使われてきた。合成素材と比較すると強
度は低い。

最近は合成素材が主流になっていますが、シルクが多く使用されている国もあります。
その他に金属製の糸があり、骨を縫合する際などに使われます。

単糸(モノフィラメント)と編糸(マルチフィラメント)

糸の構造によっても性質が異なり、種類が分かれています。

糸のサイズ

縫合糸は糸の太さによって分類されています。
アメリカのU.S.P(米国薬局方)による分類では、1番太いものが10号で、1号小さくなるごとに細くなり、1号より細いものは1-0、2-0という順番に細くなります。

一番細い12-0の糸は、直径が0.001mmから0.009mmまでと定められています。その細さはぎりぎり肉眼で見えるくらい。実際の比率に合わせて拡大した図を作ってみましたが、それでも12-0は目を凝らしてみないと見えないほど細いですね。

糸のサイズと使われる部位の例(拡大図)

まとめ

「縫合用の糸」と一口に言っても、

  • 吸収性 / 非吸収性
  • 天然素材 / 合成素材
  • 単糸(モノフィラメント)/ 編糸(マルチフィラメント)
  • サイズ

といった、さまざまな種類・特徴があることをご理解いただけたでしょうか。

当社では、縫合糸にさまざまな大きさや形状の針を組み合わせ、多品種の針付縫合糸を製造しています。「針付縫合糸についてもっと知りたい」という方は、針付縫合糸のについての記事をあわせてご覧ください。

針付縫合糸の針に関連する記事はこちら

  • URLをコピーしました!
目次
閉じる