2022年度交流授業レポート ~千葉県内5つの中学校に若手技術職社員が出張!~

当社では千葉県内の中学校で実施されている交流授業に参加しています。

交流授業では、ものづくりに携わる技術職の若手社員が中心となり、「河野製作所はどんな会社か」というところからはじまり、「医療機器メーカーでのお仕事とは」「働く上で大切にしていること」「仕事をしていて面白いと感じること」などのテーマで社員自身の経験を話したり、日常生活ではなかなか目にすることのない当社の針付縫合糸を中学生の皆さんに手に取ってもらい、縫合体験に参加していただいたりという、座学と体験を織り交ぜた内容で授業を行っています。
今回は、2022年度に訪ねた5つの中学校での交流授業の様子をご紹介します。当社社員の熱意、授業を聞いていただいた中学生の皆さんの真剣さや授業当日の盛り上がりをお伝えできたら幸いです。

※本記事は2022年から2023年に公開した記事を再構成したものです。

東国分中学校

2022年度最初の交流授業ということもあり、事前に参加予定の社員が全員集まってワークショップの内容を打ち合わせました。今回メインでワークショップを担当する社員は「ものづくり3課」という、自動機を使って針の製造を行う部署で働いています。針の種類、特徴、主にどんなところで用いられる針なのか・・・針について伝えたいこと、伝え方について、様々な意見が飛び出し、初回の打ち合わせは2時間にも及びました。

そして交流授業当日。会社紹介の後、早速、針付縫合糸について説明しました。
当社が作っている針付縫合糸は、手術の現場で使いやすいように様々な工夫をされています。そのことを実感してもらえるよう、スポンジを患者さんの体に見立てて、通常の縫い針と針付縫合糸でそれぞれ縫ってみる体験をしました。レクチャーの後、実際に持針器を持って縫合をしてもらうと皆さん「医療ドラマみたい!」と興奮している様子。初めての持針器に苦戦しながらも、裁縫用の縫い針だと途中で糸が抜けてしまうリスクがあることや、真っ直ぐな針では深いところを上手に縫えないことなど、手術用縫合針独自の工夫をしっかりと感じていたようです。

針付縫合糸を使った縫合体験の様子
小さな針を熱心に観察していました

縫い針と手術用の針の違いを知っていただいたあとは、手術用の針の中にも用途によって様々な工夫が凝らされていることを、顕微鏡で実際の針を観察しながらクイズ形式で知ってもらいました。
何問かクイズを出しましたが、特に丸針と角針の違いは見つけるのが難しかったようです。私も入社時の研修で針先の種類当てクイズをやったことがありますが、一度知識を身につけていても見分けるのには苦戦した思い出があります。それくらい肉眼では違いが分かりにくいですが、中には気付いた学生もいて、生徒間で教え合ったりととても盛り上がっていました!

ここまで体験や観察を通して知ってもらった針の工夫。当社では全てのお医者さんが一番使いやすい針を選び、より良い手術ができるよう、ここまで沢山の種類の針を用意しています。
相手の立場になって考えることは当社の製品開発の基本ですが、当社に限らずどの会社でも、さらには学校生活の中でもとても重要な考え方だということをお伝えして、交流授業を締めくくりました。

鎌ヶ谷第三中学校

今回の交流授業を担当する生産技術課の社員が用意したのは、ものづくりの自動化を学べるワークショップ。

当社では、職人さんの技術を途絶えさせないようにするために、ものづくり(生産)の自動化を進めています。
自動化にあたっては、ゴールの状態を考えてその形状にするにはどうしたらよいか、ということを考えます。その思考を体験してもらうために、加工前と加工後それぞれの針を配って違いを探してもらったり、適した加工方法は何があるかを考えてもらったりしました。焼きなまし加工によって、針がどれくらい柔らかくなるかを実際に体験する場面も。その硬さの違いに驚く皆さんの様子に、私たちは思わずにんまり。

皆さん真剣に耳を傾けています!
ワークショップに一生懸命取り組んでくださいました!

交流授業にあたって、中学校から示されたテーマは
『職業の魅力を探る』~人に必要とされ、喜びを与えるためには~

ワークショップのまとめとして、生産技術課の社員からお伝えしたのは、働くうえで一番大切にしていることはコミュニケーションだということ。仕事は「要望に沿った機械をつくる→信頼を得る→必要とされる」の繰り返し。この繰り返しが、お医者さん、ひいては患者さんに喜んでもらえるための装置を作ることに繋がっていくところに、やりがいを感じているということ。そしてそのためには、何よりも日々のコミュニケーションが大切だということを、教えてくれました。生徒の皆さんへ、「今はいろんな経験をしてたくさんの人と出会い、コミュニケーションを学んでほしい」ということをお伝えして、ワークショップは終了。生徒の皆さんがまじめに取り組んでくださったおかげで、仕事のこと、そして働くことについて、しっかりとメッセージをお伝えすることができました。

最後に生徒の方より、交流授業の感想を頂くことができました。頂いた感想のなかで特に印象的だったのは、「『一人でも必要とする人のために行動する』ということは、医療だけでなく色々なところで生かせる良い考え方だと思いました」というお言葉。当社の考え方、働く原点としている想いに心を留めて頂けたことを、とても嬉しく思いました。

船橋市立法田中学校

今回は、生産技術課の社員が担当する講話形式の交流授業。
自己紹介と会社紹介が終わると、装置作りの流れをレクチャーしました。装置ができるまでには、構想、設計、部品手配、組み立て、配線、プログラム・・と様々な工程がありますが、それを基本的にすべて一人で行うのが当社の特徴。すべての工程に携わっているからこそ、分かりやすく解説してくれました。

当社の製品である針には、様々な加工が施されており、製造装置では複数の工程を一気に加工することも可能です。生徒の皆さんには、加工する前の素材と加工された素材を実際に触ってもらい、どのような違いがあるか、クイズに挑戦していただくと「先端が尖っている」「穴が開いている」「曲がっている」「硬くなっている」など次々に正解がでてきました。それぞれどのような加工なのか一つずつ解説し、実はいろいろな技術が詰まっていることを感じていただけたのではないかと思います。

針をペンチで曲げてみたり・・
社員曰く、製造装置をつくる仕事と趣味のバイクは似ているのだとか

最後に皆さんから、感想や質問をたくさんいただきました!
中でも印象的だったのは、「仕事をする上で一番大切にしていることは?」という質問に対する社員の回答。

広報担当として同行した私は、質問を聞きながら「より優れた機械を作ること」かなあ・・・と予想していましたが、「装置を実際に使う人のことを考える」と答えていました。社内で製造装置を作っているからこそ、それを使って製品を作るのも同じ工場にいる社員。その方々が使いやすいように、安全に作業できるように、というのを第一に考えて開発している点にとても感激してしまいました。そのほか、高等専門学校に進学しようか、高校に進学しようかと悩んでいた生徒さんからは、進路選択の参考になったと嬉しい感想をいただきました。

後日、講話を聞いてくださった生徒の皆さんからお手紙をいただきました。
とある生徒さんが、「つくることではなく、つくるまでが一番大変だと知りました」と書いてくださっていて、製品を作ることももちろん簡単ではないのですが、製品を生み出すまでの苦労についても感じ取っていただけたことに嬉しくなりました。

緑町中学校

緑町中学校の生徒の皆さんが当社のことについて事前学習してくださったとのことで、交流授業はその内容についての発表からスタート。当社への第一印象と調べてわかったことについて、生徒の皆さんの感じたことを交えながら伝えて頂きました。意欲的に調べて頂いたことが伝わってくる素敵な発表に、発表途中からもう心の中での拍手がとまりません。当社が大切にしている「チャレンジ精神」をしっかりと汲み取ってくださっていて、とても嬉しく思いました。また、発表にあたってパワーポイントも制作されていて、その完成度の高さにもびっくり。

その後は事前学習をとおして浮かんだという疑問についてお答えしました。しっかりと事前学習されただけあって、疑問の内容も簡単には答えられない深いものばかり。思いがけず私たちも社会人の原点に立ち返る機会となりました(笑)

社員による縫合レクチャー
実際の製品を使って、スポンジに縫合体験!

事前学習発表のあとは、こちらが用意したワークショップを行いました。
ワークショップのテーマは『針が加工されている理由を知ろう』ということで、まずは縫い針と製品の手術用縫合針を使い比べてもらうために、手術の縫合を体験してもらいます。実際に手術で用いる道具を使うため、事前にしっかりとレクチャー。

体験では、切ったスポンジを皮膚に見立て、縫い針と手術用縫合針それぞれで縫い合わせてもらいました。縫い針では思うように縫い進められない一方で、手術用縫合針ではさくさく縫い進められるその違いに、「すごい!」と声をあげている生徒さんも。はじめは苦戦していた生徒さんも、すぐに慣れて皆さんすいすい縫い進めておられました。針が曲がっているのは、動かせないもの(組織)をしっかり縫うためということを、実感して頂けたのではないかと思います。

つぎに、手術用縫合針にはどんな加工がされているかを知って頂くために、実際の針をマイクロスコープでお見せしました。曲がっていたり、潰されていたり、色がついていたり・・・。すべての加工には理由があるという社員の話に、生徒の皆さん興味津々の様子でした。

最後に生徒の皆さんから頂いたのは、ワークショップや質疑応答の際にお答えしたことに触れた、お伝えしたことを余すことなく受け取ってくださったことがわかる素敵な感想。皆さんの学びをより深められる時間にできたのかな、とほっと胸をなでおろすことができました。

鎌ヶ谷第四中学校

当社の特色や、その土壌となっている「一人でも多くの患者さんを救うために、必要としている人が少ない分野に力を注ぐ」という理念についてご説明しましたあと、いよいよこちらが用意したワークショップ。

ワークショップのテーマは『装置作りの開発プロセスを考える』。グルーブにわかれ、生産技術課のUさんが携わっている装置作りの考え方を体験してもらおう、という内容です。今回は当社の製品である「針付縫合糸」を作れる機械を考えてみようということで、まずは針の観察を行います。次に観察した形にするための工程について検討。最後にその工程を行うための機能をもった装置を考え、イラストにしてもらいました。

まずは社員による説明から
皆さん色々なアイデアを出し合いながら取り組んでくださいました!

なかなかに難しい内容のためうまく進められるかとても不安だったのですが、生徒の皆さんとても優秀で、こちらの心配をよそに様々なアイデアを出し合いながらワークを進めてくださいました。中にはこちらが想定していた方法とは違うアイデアもあり、思わず「なるほど、、、」と唸る場面も。

皆さんに考えて頂いた後は、今回考えてもらった装置の一例として実際にUさんが作った装置をお見せしました。時間の関係上触ってもらうことは叶わなかったのですが、自分たちが今考えたことが形になるとどんなものになるのか、ということを感じて頂けたのではないかと思います。

グループワークの後は質疑応答の時間ということで、生徒の皆さんからたくさんの質問をいただきました。働く人に注目してくださった質問、会社のことに対する質問などがあり、様々な角度から当社に興味を持って下さったことをとても嬉しく思いました。

交流授業の締めくくりとして生徒の方からいただいた感想の中に、当社の特色である世界最小の針のお話が印象的だった、というものがありました。どうしてその針を作ったのか、という会社の想いとともにお話しした内容がしっかり伝わったことがわかり、これからどのような進路に進むかを考えるにあたって、会社や製品のことだけではなく、働く上でどのように社会に貢献していきたいか、というところの大切さもお伝えできたワークショップになったのではないかと思います。

目次

最後に

交流授業を通じて、今後の職業選択のために、会社や製品のことだけではなく、その奥にある働く上での想いや、自分の作ったものが社会で役に立つことの喜びもお伝えすることができたと思います。また、私たちにとっても、自分の仕事や「働くということ」を見直す良い機会となりました。

東国分中学校の皆様、鎌ヶ谷第三中学校の皆様、船橋市立法田中学校の皆様、緑町中学校の皆様、鎌ケ谷第四中学校の皆様、貴重な機会を頂き、本当にありがとうございました。

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